音楽にはいくつの音があるのか——なぜ12なのか

西洋音楽は12の異なる音を使います。そのうち7つはド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シという固有の名前を持ち、残りの5つはそのあいだにあって、シャープやフラットで呼ばれます——ド♯/レ♭、レ♯/ミ♭、ファ♯/ソ♭、ソ♯/ラ♭、ラ♯/シ♭。12番目の音のあとは、1オクターブ上で同じパターンがまた始まります。だからピアノの88の鍵盤には12の音しかなく、それが繰り返されているのです。

12の音とはどれのこと?

鍵盤でドから始めて、白鍵も黒鍵も1つずつ上がっていくと、12の音は次のとおりです。

ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、ファ♯、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シ

その次の鍵盤はまたドです。一歩一歩が半音で、西洋音楽でいちばん小さな距離です。黒鍵は5つのあいだの音で、どれにも2つの名前があります。ドとレのあいだの黒鍵は、ド♯(ドを上げた音)でもあり、レ♭(レを下げた音)でもあります。鍵盤の上で12の音すべてを見つける方法は音名と半音のレッスンで紹介しています。

音が12あるのに、音名が7つしかないのはなぜか

たいていの音楽が一度に7つの音を使うからです。メジャースケールやマイナースケールは12の音から7つを選び、それぞれの音名に1つずつ割り当てます。音名はそうした音階を中心に名付けられました。ピアノの白鍵は、ちょうどドメジャースケールそのものです。残りの5つの音は音名にシャープかフラットを付けて書くので、どの音階でも、それぞれの音名は1回ずつ使われることになります。同じ12の音を呼ぶほかの命名法については、記事「ドレミか、C D Eか」で扱っています。

音が繰り返されるのはなぜか

オクターブがあるからです。1オクターブ離れた2つの音は周波数の比が2:1で、耳はそれを高さの違う同じ音として聞きます。大人の男性と子どもが同じメロディーを1オクターブ離れて歌っても、同じ音を歌っているように聞こえます。そこで音楽は1オクターブ分の音に名前を付け、その名前を上にも下にも使い回します。ド4もド5も、どちらもドです。

ピアノにはいくつの音があるのか

標準的なピアノには88の鍵盤があり、白鍵が52、黒鍵が36。いちばん下のラ0からいちばん上のド8までです。同じ12の音が7オクターブ少し分並んでいることになります。ギターも同じ仕組みです。フレット1つが半音なので、1本の弦を12フレット上がると、開放弦の音に1オクターブ上で戻ってきます。

なぜ12で、ほかの数ではないのか

12は、とてもよい完全5度が得られる、いちばん小さな等分の数だからです。完全5度は周波数の比が3:2の音程で、オクターブの次にもっとも安定して聞こえます。

ドから完全5度を積み重ねると、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ、ファ♯……と続きます。5度を12回積むと、7オクターブ上で、ほぼドに戻ってきます。ずれはわずか、半音の4分の1ほどですが、そのせいで純正な5度では円はぴったり閉じません。現代の調律である平均律は、オクターブを12のまったく等しい半音に分け、すべての5度をほんの少しだけ狭くすることでこれを解決しています。その5度の鎖で12の調すべてを一周するのが、五度圏のレッスンです。

この妥協は、いちばん大事なところでは小さく、ほかのところではもっと大きくなります。音楽家はそれを、半音の100分の1であるセントで測ります。

音程 純正な比 純正な大きさ 平均律での大きさ 差
オクターブ 2:1 1200セント 1200セント なし
完全5度 3:2 約702セント 700セント 約2セント
長3度 5:4 約386セント 400セント 約14セント

もっと少ない等分では、5度をここまで近づけることはできません。オクターブを5つや7つに等分すると5度は15セント以上ずれ、29未満の等分で12より近い5度が得られるものはありません。

5音や7音の音階はどこから来たのか

同じ5度の鎖を、もっと短く切ったものです。ド–ソ–レ–ラ–ミと5度を5つ並べると、ペンタトニック・スケール(五音音階)の音、ド・レ・ミ・ソ・ラになります。7つ、ファ–ド–ソ–レ–ラ–ミ–シを並べると、ドメジャーの7つの音になります。12並べると、すべての音になります。だからペンタトニック・スケールはメジャースケールの中に収まり、メジャースケールは12の音の中に収まるのです。

ほかの音楽の伝統も12の音を使うのか

すべてではありません。12は西洋音楽の標準であって、ほかの伝統は音の高さを別のやり方で分けています。

  • アラブ音楽はマカーム(maqamat)という、半音と全音のあいだの大きさの音程を含む音階で組み立てられます。理論ではよく、オクターブを24に分けた格子、いわゆる四分音で説明されますが、実際の大きさは地域や演奏者によって異なります。
  • インド古典音楽は理論の上で、細かな音の位置である22のシュルティ(shruti)を挙げています。実際には演奏者はオクターブの中の12の音の位置、スヴァラ(svara)を使い、それぞれのラーガ(raga)がそこから音を選び、しばしばそのあいだを揺らします。
  • ジャワのガムランは2つの調律体系を使います。オクターブに5音のスレンドロ(slendro)と、7音のペロッグ(pelog)です。ガムランの1セットごとに独自に調律されているので、その音はピアノの音とは一致しません。

作曲家や理論家は、オクターブを19、24、31、53に等分することも試みてきました。耳は半音よりずっと近い音の高さを聞き分けられるので、12は選択であって、聴覚の限界ではありません。

ド♯とレ♭は同じ音?

ピアノでは、同じです。ド♯とレ♭は同じ鍵盤で、同じ音がします。書き方が違うのは、調によって違う役割を果たすからです。どちらの名前で書くかを調がどう決めるかは記事「シャープとフラットの違い」で、書き分けが重要になるのはどんなときかは異名同音の音程のレッスンで説明しています。

やってみよう

12の音は、数えずに見つけられるようになって初めて役に立ちます。音を見つけようの練習では、音の名前が示され、それを鍵盤でもギターでもほかの楽器でも、自分の楽器で弾いてもらいます。まずは7つの幹音から、そして12の音すべてへ進みます。

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